次世代を担う責任感ある若者を育成するという名目のもと自治学園都市として成立した学園であったが、設立当初の教育委員会統治下での混迷から抜け出すために連合生徒会は制度再編成の強行を余儀なくされた。
しかしあまりに急激な変化は服装規定違反者や生徒会活動に対するストライキなど単純な違反者から違法ドラッグの製造や武器の密輸など明らかな犯罪組織まで反生徒会勢力の急速な台頭をももたらした。
再度の教職員会議の介入を回避し、且つ権限拡大を目論む生徒自治会内部の動きを牽制すべく生徒会は第三の道を選択した
校内にその活動範囲を限定しつつ独自の権限と強力な戦力を保有する連合生徒会執行部直属の実動部隊、特別風紀維持隊、通称特紀隊の誕生がそれである。
治安の番人としての栄誉を独占し、第三のそして最強の管理集団として急速に勢力を拡大した特紀隊
しかし学内の安定とともに反生徒会勢力が無力化していく中、反生徒会・反自治会を強硬に主張し武装闘争路線を貫く「セクト」と呼ばれる学内ゲリラを生み出すに及んで状況は大きく転回することになる。
特紀隊とセクトの武力衝突は熾烈をきわめ、時に市街戦の様相を呈することもしばしばであり激しい世論の指弾を浴びた。
平穏な学園生活に向けて流れ始めた世相の中、特紀隊はその宿敵であるセクトと共に急速にその孤立を深めつつあった……
■舞台
とある地方都市の外れにある総合学園都市。教育委員会管理下のもと複数の財団によって結成される。生徒の自主性を高めるために都市設備の維持管理も生徒の手によって運営されている。衣食住に関する最低限の都市機能は学内にあり、生徒は夏季と冬期の長期休暇以外には学外に出ることを禁じられている。なお学園都市内部では専用の通貨制度が取られている。
- ■各種組織
- ●教育委員会
- 学園成立以後も介入の機会を狙っている。
- ●教職員会議
- 生徒の学園自治には原則として介入できない。が、一部の教職員にはセクトに協力する者もいる。また逆に教育委員会の監視役も。介入審議会として修道士風のローブスタイルの者たちもいる。
- ●連合生徒会
- 教育委員会からの完全独立を勝ち取るために生徒に対して学園改変を強行する。制服の着用義務や私生活の監視・監督など。反発した不平分子に対しての教職員会議の学園の介入は避けたいが生徒自治会の権限拡大も避けたいという思惑から特別風紀維持隊を設立する。しかし生徒会の構成員は生徒による選挙によって選ばれるので行き過ぎた特紀隊の活動に対して距離を取るようになっている。
- ●生徒自治会
- 学園における一般生活の管理・運営組織。寮、食堂など公共施設の管理・運営に関しての権限を持つ。自治会役員は一般生徒による選挙ではなく上級会員の推薦によって選ばれるので、生徒会の下部組織であるが実質的には独立した権力機構ができあがっている。また下部組織は多岐にわたる。生徒は原則として入学時に自治会の会員になる。
- ●特別風紀維持隊
- 連合生徒会執行部直属の生徒管理組織、通称特紀隊。活動範囲を校内に限定することで独自の権限と強力な戦力を保有することを許されたが、活動があまりに過激に過ぎたので各方面から解体すべきとの声が高い。
- ●反生徒会勢力
- 連合生徒会の指示に従わない者が中核となっているため、留年生が多い。ただ統一された集団ではなく個別に活動をしているものが大半である。服装規定違反者や生徒会活動に対するストライキなど単純な違反者から、違法ドラッグの製造や武器の密輸など明らかな犯罪組織まで多岐にわたる。この中で生徒会打倒を掲げ、武力による開放を目指す武闘派を「セクト」と連合生徒会側は呼称する。
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