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・パーキンソン病の原因物質確認
たんぱく質「アルファ・シヌクレイン」
平成12年2月18日 読売新聞より
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体のふるえや筋肉のこわばりなどの運動障害が進むパーキンソン病は、「アルファ・シヌクレイン」というたんぱく質が脳内で多量に蓄積されることによって発症するのではないかと見られていたが、米カリフォルニア大サンディエゴ校(UCSD)と横浜市立大などの研究グループがネズミを使った実験でこの仮説を裏付けた。18日発行の米科学誌「サイエンス」に発表した。
このアルファ・シヌクレインは4年前、自宅前で銃撃され死亡した斎藤綱男・カリフォルニア大サンディエゴ校教授(当時46歳)が、人間の脳から世界で初めて分離した物質で、同大では斎藤教授の成果をエリーザー・マスライアー教授らが引き継いで研究していた。
マスライアー教授らは、人間のアルファ・シヌクレインの遺伝子をネズミに組み込み、脳の変化や運動能力を調べた。脳内でアルファ・シヌクレインが大量に作られたネズミの生後2、3ヶ月の脳を調べると、人間のパーキンソン病の患者の脳神経細胞内にできるかたまりに似た組織ができ、脳神経細胞が萎縮。また普通のネズミと運動能力を比べたところ、遺伝子を組み込んだネズミは、運動能力に明らかな障害が生じた。
アルファ・シヌクレインは正常な人間の脳にも存在し、その役割は不明。パーキンソン病の患者には、この物質を大量に含むかたまりが脳幹にできるという。横浜市立大神経科の小阪教授は「昨年、パーキンソン病の患者の一部にこの遺伝子の突然変異があることがわかって、多くの研究者が注目していた」と話している。
パーキンソン病は、脳幹の細胞の萎縮によってドーパミンという物質が不足する病気で、国内に約10万人の患者がいると推定され、元ボクシング選手のモハメド・アリ氏も闘病生活を送っている。
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