・人気集める民間・介護保険
 
平成11年12月5日 読売新聞より

 民間の介護保険が、生命保険や損害保険各社から相次いで発売されている。来年4月開始予定の公的介護保険を補完するねらいだが、半年で契約件数が40万件以上というヒット商品もある。公的保障だけでは不安という働き盛りの世代を中心に人気を集めているようだ。「契約にあたっては、給付は現金である点など公的保険との違いをよく知っておきたい」と、専門家はアドバイスしている。

 住友生命が4月に出した「愛&愛らぶ」は、従来の終身保険に介護収入保障特約を付加したものだ。死亡保険金額2千万円で、年額300万円、最長20年計6千万円の年金を受け取るこの特約を付けると、30歳男性の場合、保険料は介護保障がない場合の月1万6831円より741円高くなる。

 働き盛りの生活保障を組み込んだのが、最大の特色だ。「介護そのものにかかる費用が年額約70万円、働き盛りが倒れた時の生活費用が年額約220万円かかると見られることから、特約の標準的な例を年額300万円にした」と同社。公的介護保険が保険料を40歳から払うのに対し、給付は原則65歳以上である点を強く意識したものだ。

 安田火災海上も、65歳未満の保険金額を厚く、公的給付のある65歳以上の保険金額を薄く設定している。
 
 明治生命も、終身保険特約の形で介護保障保険「ナーシング」を販売している。こちらは、40歳加入の場合、65歳までに寝たきりなどの要介護状態になれば見舞金が、それ以降は年金が支給される。健康な場合でも、祝い金として20万−40万円を受け取ることができる。

 こうした民間保険と公的保険の最大の違いは、介護が必要になった時、給付が実際のサービスではなく、現金で支給される点。そのお金で公的介護保険では足りないサービスや、提供されないサービスを購入することになる。また、公的介護保険では原則65歳以上が給付対象だが、民間介護保険は年齢を問わない。
 
 一方、注意しなければならないのは、民間介護保険の要介護認定の基準が公的介護保険とは違うことだ。常時寝たきり状態で、食事や服の脱ぎ着が自分ではできない状態が180日以上続いていることなど、概して公的保険より要件が厳しいと言われる。

 お金が給付されるという点だけ見れば、個人年金保険を選ぶ手もある。年を取れば必ずもらえる個人年金保険を選ぶか、掛け捨てになるかもしれないが万一の時、年金よりも保障の厚い介護保険を選ぶのかは考え方次第という。

 生命保険文化センターの小西生活情報室課長は「私たちの調査では、公的保障だけに頼れないと考える人が8割近くに上る。公的介護保険を補い、自助努力を促す民間保険の役割は大きいのでは」と話している。


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