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・「療養型病床群」って何?
平成11年8月7日 読売新聞より
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<定義>
高血圧や脳卒中など慢性の病気で、長い期間にわたって療養しなければならない人のための病室です。社会の高齢化と医療技術の進歩を反映して、病院の機能を分け、患者さんの様々な病状に応じた診療を実現するための医療法改正で、1993年4月から設けられました。入院する患者さんに年齢の決まりはありませんが、治療と介護が同時にできるため、高齢者が大半なのが実情です。
<条件>
ふつうの病室は、面積が1つのベッドにつき4.3平方b以上と決められていますが、療養型病床群の場合、病室面積が1ベッド当たり6.4平方b以上と、より広くしなければなりません。
このほか、弱った体の機能を回復させるためのリハビリ室や、食堂、浴室、談話室なども必要になります。1〜2ヶ月ほどで病気が治って退院できる患者さんがほとんどの一般の病棟とは違って、長い間療養する人が多いため、少しでも快適な環境が求められるからです。
また、一般の病室では、利用者100人当たりの職員配置基準が、医師6人、看護婦25人なのに対して、療養型病床群では医師は3人、看護婦は17人ですみますが、介護職員17人が必要になります。 特別養護老人ホーム(特養)は、介護職員が22人必要になる代わりに、医師は1人(非常勤も可)、看護婦は3人。つまり、療養型病床群は、一般病室と特養の中間にあり、介護を受けながら気長に病気を治すことができる施設というわけです。
<コスト>
療養型病床群が、介護保険の保険料を高くする要因として議論になっているのは、多額の費用がかかるからです。介護サービスは、ホームヘルパーなどの在宅では平均24万円ですが、施設では特別養護老人ホーム31.5万円など高く、中でも医療スタッフが多い療養型病床群では46.1万円。従って、施設、特に療養型病床群に入る人が多いほど、その市町村全体の介護費用が増え、高齢者の保険料も高くなります。
ただ、在宅介護は無理で、病状のケアが必要なため特養では不安がある−という人のために、療養型病床群は必要なものです。問題は、自治体のサービス基盤整備が不十分なため、自宅での介護が可能な人や、特養に入所するのがふさわしい人までが、多額の費用がかかるこの施設に入るようになってしまうことです。そうならないように、本人の身体状況に合わせた適切な介護サービスを提供できる体制づくりが市町村に求められます。
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