・介護保険 「認定漏れ高齢者」
 国の補助を大幅拡充

平成11年7月21日 読売新聞より

 政府・自民党は20日までに、来年4月から実施される予定の介護保険制度で、「要介護」の認定を受けられなかった高齢者に対して、現行の福祉水準を維持するために市町村が独自に行う生活支援などの事業への補助を大幅に拡大する方針を固めた。10月から始まる要介護認定に伴う混乱を抑えるのが目的で、独り暮らしの老人への配食サービス、外出支援サービスなどの市町村の事業を対象とする。2000年度予算の概算要求に事業費として300億円以上を盛り込む方向で検討している。


 介護保険では、要介護認定で「自立」と認定された高齢者は在宅介護サービスも施設での介護サービスも受けられなくなる。また、「要支援」と認定されると施設介護サービスの対象外になる。すでに特別養護老人ホームに入所している高齢者は、経過措置として5年間はそのまま入所することが認められているが、その他の施設にいる人や在宅介護を受けている人には経過措置は設けられていない。
 このため、現在介護サービスを受けている人が「自立」と認定されて保険対象外となるケースが予想され、こうした「認定漏れ高齢者」への対策を求める声が各市町村などから出ていた。

 政府が補助を拡大する事業は、高齢者の生活支援と生きがい対策が中心。生活支援事業としては@配食サービスA外出支援B訪問入浴C寝具洗濯乾燥消毒サービスD高齢者共同生活(グループリビング)支援−などを挙げ、市町村が地域の実情に応じて選択する「メニュー化」の方式をとる。生きがい対策では、要介護者になることを予防するため、高齢者の健康づくりやスポーツ活動、学習、創作活動、ボランティアなどへの参加を支援する。
 また、要介護認定された人に対しても、配食サービスなどを介護保険の枠内で行うかどうかは市町村の判断に任せられているため、介護保険の枠外でこうしたサービスを実施した場合は補助の対象とする方針だ。

 99年度予算には「在宅高齢者保健福祉推進支援事業費」として100億円が盛り込まれ、在宅高齢者の生活支援事業などの補助に充てられているが、政府・自民党ではこれを最低3倍以上に拡大する方針。ただ、国の補助率は2分の1で、都道府県と市町村がそれぞれ4分の1を負担することになるため、市町村の負担が重くなり過ぎないように調整することにしている。


新着情報へ戻ります