・国立病院再編 疾患別にネット化

平成11年5月15日 読売新聞より

 厚生省は5月15日までに、国立病院の改編の中で、来年度から各病院の専門分野をはっきりさせ、19の疾病分野ごとに病院のネットワーク化を進めることを決めた。例えば、国民の死亡原因のトップになっているがんなら、国立がんセンター(東京都中央区)を頂点に各地方の基幹病院を決め、その下にがん治療を得意とする約40の病院を配置するピラミッド型にする。
 これまでの国立病院は、いろいろな診療科目をそろえた”百貨店型”が多かったが、同省ではより高度な医療を目指すため、病院ごとのセールスポイントを前面に出す”専門店型”に転換することにした。

 同省は、現在213ある国立病院を最終的に153にまで減らす再編成計画を進めている。「『売り物はこれ』と、特色がはっきりしている病院は残し、個性のない病院はなくす」(国立病院部)との方針だ。
 この中で、国として重点的に対応する疾患を、最先端技術や専門スタッフが必要ながん、循環器病、精神疾患、エイズなど19分野に限定、存続させる病院をこの19分野にグループ分けすることにしている。

 同省の構想では、国立がんセンターや、心臓病などの循環器病では国立循環器病センター(大阪府吹田市)、精神疾患では国立精神・神経センター(東京都小平市)、エイズ治療では国立国際医療センター(新宿区)といった全国の中核となるナショナルセンターなどをグループの頂点に、北海道、東北、関東・信越、東海・北陸、近畿、中国、四国、九州の8地域に疾病ごとの基幹病院を指定。その下に各地の専門病院を配置する考えだ。

 ネットワークの病院間は将来的にオンラインで結ばれ、コンピューターに入力された患者のカルテ(診療録)を基に、医師同士が効果的な治療法をアドバイスし合ったり、薬の副作用について情報交換したりすることが可能になる。さらに同省は、ネットワーク内で患者の転院をスムーズにさせ、「地方の病院でもナショナルセンターと同レベルの治療が可能になるようにしたい」(同部)としている。


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