冷え性
衣食住の工夫で改善

平成11年1月27日読売新聞より

 病気ではないのに、手足の先などに冷えを感じる人が増えている。偏った食事や不規則な生活で、季節の変化に体が対応できなくなっていることが要因のようだ。冷え性の人にとって今ごろは特につらい季節。冷えやすい体質を改善するには、衣食住での工夫が必要という。

 冷えを感じるのは、人の体が生み出す熱と放出される熱のバランスが崩れるため。体調不良で新陳代謝が低下したり、外気温が低いときに栄養不足で産熱量が落ちたりすると、放出熱が産出熱を上回り、体の一部が冷たくなる。
 南多摩病院の村田院長によると、冷えを訴える人はここ数年増えており、1日の外来患者約80人の2割近くが冷え性という。

 「冷え性は医学的には病気でなく、頭痛と同様に1つの症状ととらえられているが、体全体の不調を訴えるもので、半健康な状態を示す。女性だけでなく、男性でも増えている」と指摘する。
 人は四季や昼夜の変化に合わせて体温を一定に保っている。しかし、冷暖房を多用したり夜更かしが増えたりすると、自律神経の働きが乱れてしまい、寒くないのに抹消の血管が収縮し、手足が冷える。

 対策の1つは、就寝時の工夫だ。冷え性の人は布団に入っても手足の冷えに悩まされるが、寝入ってしまえば手足の温度はきちんと上昇するという。つまり、いかに寝付くかが重要となる。

 村田院長が勧めるのは、丸めたタオルを背骨に沿うように縦に置くことと、肩にバスタオルをかけること。丸めたバスタオルの刺激が血流を促し、バスタオルは肩口から熱が逃げるのを防止する。薄いクッションを足元に敷いて、足を高く保つのも血行が良くなる効き目があるという。
 普段の衣類は、下半身にスパッツやレッグウォーマーなどを着けるとよい。「ももひきや腰巻きなど昔の生活の知恵がすたれたが、冷え性の人が冬にミニスカートをはいては症状が悪化するだけです」

 人の体は本来、寒さに備えて冬には皮下脂肪が増える。だが、ダイエット志向によって脂肪を落とし過ぎると、皮膚の表面から熱が逃げやすくなる。村田院長は「冷え性は痩せ過ぎの女性に多い。冬場に2キロくらい体重が増えるのは自然の摂理と考えた方がいい」と説明する。
 また、東洋医学の考え方から、食べ物を体を温める食物(陽性)と冷やす食物(陰性)に分け、陽性の食物を取ることもアドバイス。陽性の食物は北国で取れる食品に多いとされ、野菜ならタマネギ、ニンジン、ダイコン、カボチャなど。果物はリンゴ。クリもいい。肉類は牛肉や鶏肉、魚ならアジ、イワシ、ブリ、サバなど。また、冬場には糖質や脂質をしっかり取ることが大切という。

 冷え性は、生理痛や貧血、膠原(こうげん)病などによって引き起こされることもある。冷えがひどくてしびれを感じるなどする場合には、医師の診断を受けるとよい。


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