薬の疑問 
薬局で気軽に尋ねて

読売新聞より

 自分が服用する薬への関心が高まって、副作用や飲みあわせの注意などを聞きたいという人も増えてきた。日本薬剤師会は、薬局の薬剤師に薬に関する疑問を気軽に尋ねてもらうキャンペーンを展開しているが、先月からは「お薬手帳」も発行、薬使用者が自分の薬を理解できる手助けを進めている。

 「薬はジュースやお茶といっしょに飲んでもいいの」「1日2食しか食べないが、毎食後3回飲む薬はどうするの」−。

処方された薬に関するこんな疑問はよく聞くが、実際に医師や薬剤師に質問するケースは多くはない。薬局に行っても薬剤師は忙しそう、というのが詳しく聞けない理由のようだ。そこで日本薬剤師会では2年前から、薬への理解を深めてもらおうと「ゲット・ジ・アンサーズ(Get the Answers)」運動を行っている。患者の立場から薬の情報を得ることを促すもので、例として5つの質問を掲げている。

・Q1 この薬の名前は?
・Q2 何に効くの?
・Q3 飲むときに注意することは?
・Q4 副作用は?
・Q5 他の食べ物との飲み合わせは?

5年前、発売されたばかりの抗ウイルス剤のソリブジンと一部の抗がん剤を併用した副作用で16人が死亡したこと、医薬分業が進んで薬の院外処方が30%に上ることなどが、積極的に医薬品情報を提供しようという動きにつながったものだ。
 同会常務理事の堀美智子さんは「かつては感染症への対症薬が中心だったが、現代では自覚症状の少ない慢性疾患のための薬を飲み続けることが多くなった。薬を安全かつ有効に使ってもらうよう、店頭での説明を十分しようと考えた」と話す。
 「かかりつけ薬局」を造ることも大切だ。「質問するにしても、1ヶ所の薬局に決めた方が相談しやすいし、患者に合う薬、合わない薬がすぐにわかる」と同会。
 
 薬は、医師の出す処方箋に従って処方される医療用医薬品と、薬局で誰でも買える一般用医薬品(市販薬)とに大別される。市販薬は万人向けでそれほど注意はいらないといったイメージがあるが、厚生省の「平成9年保健福祉動向調査」によると、市販薬を使って身体に「異常が出たことがあった」人は13%いた。特に70歳以上の高齢者になると20%を超えていた。
 薬局では患者ごとに薬の使用状況を記録した「薬暦カード」を作成しているが、患者自身が市販薬を含めた薬歴を管理することも大切だ。そこで、日本薬剤師会は健康保険証と同サイズの「お薬手帳」を作成、先月から各地の薬局で希望者に配布している。「飲み合わせ」に目配りできるし、薬によるアレルギー症状などを記録しておけば、体質に合った薬を処方してもらうことも可能になる。
 「胃薬には目がチカチカする副作用のあるものがある。副作用と気づかないと、眼科を受診して別の薬ももらってしまうが、お薬手帳があれば、眼科医は『胃薬の副作用による症状』との診断を下せる。薬の過剰投与を防ぐことは、医療費削減にもつながる」と堀さんは指摘している。


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