スピーカー工作とアンプ製作の関連参考図書

目次

スピーカーの本

アンプの本

スピーカー工作とアンプ製作の関連参考図書

■はじめに;

スピーカー関連と、それに次いで始めたアンプ関係の本をあげています。

本は一通り読んだことは読んだのですが、作っていることに直接関連する部分以外は一応ざっと見た程度で、いまいち実感が持てないままのところも多いです。 文系で電気については無知・無縁だったのですが、自分がまったく知らない分野に触れることはある意味で新鮮なところがあって続いているような気もします。 やっているうちに、理系センス的なものが少しでも身に付けばいいのですが・・・。

■スピーカーの本

1.オリジナルスピーカー設計術@ こんなスピカー見たことない ☆☆
  長岡鉄男 著 音楽の友社 1456円

スピーカーの種類やエンクロージャー(スピーカーの箱)の設計方法、材料の板の選び方から工作方法の解説と著者の作品事例の図面集で構成されており、フォステックスを中心としたスピーカーユニットの仕様とデータが巻末に付いたムック本です。

スピーカーを作るきっかけになった、たまたま購入したビギナー向けオーディオ雑誌にフォステックスの紙箱スピーカー(カンスピ)の記事と共に著者の長岡さんの平面バッフルスピーカーの製作記事が載っており、その雑誌を買うとき同じ書棚に変なタイトルのスピーカーの本があったのを覚えていたので買ってみましたが、これで自作にハマルことになりました。

2.FOSTEX CRAFT HAND BOOK Speaker Craft Manual Vol.1
  フォステックス株式会社 600円 ☆☆

フォステックスのスピーカーユニットの紹介とエンクロージャー、ネットワークの計算方法をまとめたパンフレットふうの小冊子で、基本事例の寸法図も載っています。
コンパクトにまとめてあるので計算方法の部分は上の長岡さんの本よりシンプルです。 黄色の表紙なので黄本と呼ばれているようです。

東急ハンズにスピーカーを作る合板を買いに行った時にスピーカーユニットの展示コーナーで見つけましたが、無料のパンフレットかと思ったら、しっかり定価が付いてました。 ハンズ以外でもフォステックスのユニットを置いている店なら入手可能なようです。

3.FOSTEX CRAFT HAND BOOK Speaker Craft Manual Vol.3
  フォステックス株式会社 600円 ☆

同上のフォステックスのクラフトハンドブックシリーズで、スピーカーユニットの使い方偏で、バスレフやバックロードなどの代表的なタイプやフルレンジ、ツーウエイ、スーパーウーファーなど各種スピーカーの代表例の図面集です。 青色の表紙なのでこちらは青本。

■アンプの本

1.半導体アンプ製作技法 窪田登司 著 誠文堂新光社 2340円 ☆

作成した0dBアンプのオリジナル回路が載っている本です。

アンプに使用される抵抗やコンデンサなどの基本部品の初歩的な説明から半導体アンプの製作に関することが一通りわかりやすく書いてあるガイドブックで、巻末に0dBアンプなど数点の事例回路の紹介と回路図が載っています。( 0dBアンプについては、左のIndexから製作レポートを参照ください。)

アンプ関連では、私が最初に買った本です。 0dBアンプのことを教えてもらったUTiCdさんに紹介いただきました。

2.FETアンプ製作集(やさしく作れるスーパーアンプ) 窪田登司著 誠文堂新光社 2000円

前半はFET(電界効果トランジスタ)やパーツと回路の基本知識の説明で、後半はタイトル通り窪田さんの代表的FETアンプの紹介と回路の解説、作り方の説明になっています。

サブタイトルが「やさしく作れる」となっていますが、私の印象としては、そんなにやさしく作れそうなアンプ集ではないようにも感じました。
入門用としては、上の「半導体アンプ製作技法」の方がお薦めです。

3.定本トランジスタ回路の設計 鈴木雅臣 著 CQ出版 2136円 ☆☆☆

トランジスタを例にした基本的な回路と事例回路の解説書です。

テーマごとに基本的な説明があり、次いで事例の回路を設計して組み立て、計測する形式で進行する展開になっています。 まったくの初心者向けというよりは理工系の専門外の人を想定した本のようですが、数式などを使った説明が比較的少なく、わかりやすさを優先して書いてあるように感じました。

見本の半導体アンプ回路をそのままコピー製作するなら窪田さんの「アンプ製作技法」に一通りのことが載っているのですが、回路自体の設計の仕方については詳しく載っていないので、この本をUTiCdさんに紹介いただきました。

わかりやすさが優先のため、もう少し詳しく知りたいという部分が書かれてなかったりしますが、入門書としては優れた本だと思います。

4.定本 続トランジスタ回路の設計 鈴木雅臣 著 CQ出版 2621円 ☆☆

上の本がトランジスタを例にした解説になっているのに対して、これはFET(電界効果トランジスタ)を例に解説した続編になっています。

テーマごとの説明と事例回路を設計、組み立て、計測するという形式は同じで、前半の基本部分はトランジスタがFETに置き換わった内容ですが、後半部分は「定本トランジスタ」になかった回路やFETに向いた用途の事例回路が掲載されています。

5.トランジスタ技術スペシャルNo.1 特集 個別半導体素子 活用法のすべて CQ出版 1495円 ☆☆☆

雑誌「トランジスタ技術」の別冊特集シリーズ中の一冊です。

整流ダイオード、定電圧ダイオード、定電流ダイオード、各種トランジスタ、FETなど個々の半導体素子の基本説明と使い方、代表的な製品と仕様リスト、応用回路と豆知識的なものがダイジェストされています。

トランジスタ、FETについては定本シリーズなどで解説されていますが、回路中で使われる各種ダイオードなどの説明はあまり載っていないのですが、この本では代表的メーカーの品番や仕様を含めて製品レベルで載っているので実用的で、各素子ごとにまとめられているので参照しやすく便利です。 また、定本シリーズなどには出てこない高電圧関係やあまり詳しく載っていない整流回路、熱設計などの記事も参考になります。

実際に作る段階で実用性が高く、とにかく一冊手元に置くことをお薦めします。

6.初めてのトランジスタ回路設計 黒田徹 著 CQ出版 2500円 ☆☆

トランジスタとFETの基本的な説明と事例回路を組み立ててみるという「定本」に似た形式ですが、この本では回路シミュレータSPICEを使って回路動作をミュレートして解説するといいう構成になっています。

SPICEを持っていないのと、テーマに関する内容が中心で、そこに掲載されている事例回路自体の説明が少なかったりするのでよくわからないところも出てしまうのですが、テーマとなっている素子や回路動作の説明自体は上の「定本」より詳しい内容です。

「初めての」というタイトルになっていますが文系初心者にはちょっとハードでしたが、内容的には歯ごたえのある充実度の高い本だと思います。

7.解析OPアンプ&トランジスタ活用 黒田徹 著 CQ出版 2400円 ☆

OPアンプを例に、その回路解説とシミュレータを使っての回路設計の解説書で、上の続編のつもりで買ったのですが、内容的には更に高度で初心者向けではありません。

イントロ部分のOPアンプの基本的な説明と4558を例にした回路説明や負帰還の解説、個別半導体のOPアンプ回路の自作部分が参考になりましたが、後半の各種OPアンプ回路の解説はよくわからんままです。

8.オーディオ用半導体アンプの設計・解析 落合萌 著 誠文堂新光社 4700円

DCアンプに関する設計から製作までをトータルに述べた本ですが、わかっている人向けの本で、中をよく見ずに買った私はすぐギブアップしました。

しかしながら、全段差動アンプの初段素子を捜していたときに、この本にFETの差動回路と素子のデータが載っていたのを思い出して久しぶりに開いてみたら差動回路のことが詳しく載っていることを再発見しました。

9.定本OPアンプ回路の設計 岡村廸夫 著 CQ出版 2718円

「定本」シリーズの一冊で、OPアンプの解説と色々なケースの使用例が解説されたわりとボリュームのある本です。

掲載のOPアンプ回路例を見てもピンとくる用途が浮かばず、今のところOPアンプは全段差動アンプの定電流源に使っただけで自発的には全く使えていいないのですが、アースやコンデンサなどの周辺部品の役割、周波数特性や発振対策などの基礎部分の解説が参考になりました。

10.はじめての真空管アンプ 黒川達夫 著 誠文堂新光社 3000円 ☆

この本は、真空管アンプの中がどうなっているか調べるのにギターアンプを開けたときに図書館で借りてきました。

写真や図が多く入った本で、真空管についての一通りの説明と実際に真空管アンプを作っていく過程を写真とともに紹介してある内容でわかりやすく書かれていますし、レイアウトやシャーシ加工、部品選定の参考になりました。

真空管アンプがどういうものかの概略を知るには適した本だと思います。

11.真空管アンプ製作ガイド MJ無線と実験編集部 誠文堂新光社 2240円

真空管の原理から基本回路、製作過程を図と写真付きで説明したガイドブックで、6L6GCシングルアンプを例とした製作過程を追った製作ガイドと、7種類のパワーアンプの事例回路が掲載され、巻末資料として写真入りで主要真空管の規格表と、真空管アンプ用のトランス類、真空管アンプキットの主要メーカーの価格付き一覧が付いています。

この本も写真を使ってわかりやすく紹介されていますが、部品や製作の説明が具体的なのに対して、回路の解説部分の内容は概説的で、製作ガイドというタイトルからすると期待外れです。 それを別にすれば、シャーシや配線の製作過程の写真が多いのでわかりやすいと言え、掲載の事例のアンプの写真もきれいです。

12."ぺるけ"さんの「私のアンプ設計マニュアル」 ☆☆☆

"ぺるけ"さんのホームページにある真空管アンプの設計マニュアルです。

http://home.highway.ne.jp/teddy/tubes/tips/tips0.htm

相当なボリュームで初歩から幅広く項目別に揃っていますので、プリントアウトして読みました。
上にあげたような出版社の入門書では概説的で物足らなかった部分が順序立てて、真空管アンプ回路を設計するという立場で例をあげて詳しく説明されていて、とにかくお薦めです。

なお、同サイトには、マニュアルとは別に、全段差動アンプをはじめとした”ぺるけ”さんが製作された作品回路の解説と回路図や、真空管の実測データ、真空管のデータベースのリンクなども用意されています。 また、質問もできる掲示板も併設されています。

13.情熱の真空管アンプ 木村哲 著 日本実業出版社 3600円 ☆☆☆

上の"ぺるけ"さんの「真空管アンプの設計マニュアル」に全段差動ベーシックアンプの設計〜製作編を加えた内容で、マニュアルでは少なかった写真が多く入ってわかりやすい構成になっています。 また、巻末に真空管の特性データ集が付属しています。

上のマニュアルと並んで、これも座右の書として、とにかくお薦めです。

私的には、マニュアルにあるSRPP(シャント・レギュレーティッド・プッシュプル)やカスコード、カソードフォロアーなどの解説が省略され、回路設計にかかわる部分がダイエットされてしまったのが残念ですが、やはり出版となると紙数が制限されたなかで分かりやすさ優先というところからやむおえないようです。

14.アースのはなし 伊藤健一 著 日刊工業新聞社 ☆

これは工業製品としての電気回路を対象にした本のようですが、アースや電源、回路基板の基本をわかりやすい文章と例え話などを交えて解説されています。

この本はアースに関して質問したときに"ぺるけ"さんからこのシリーズを参考書として紹介いただきましたが、絶版のようなので図書館で借りて読みました。

同じ著者の「○○のはなし」シリーズの「アースとノイズ対策」、「アースと電源のはなし」、「パスコンとベタ率のはなし」、「ワットと熱と故障」などにも、「なるほど」と納得できたり、「・・・知らなかった」と認識を新たにするような話題が少なからず含まれていました。

15(番外).オーディオマニアが頼りにする本 1.オーディオの基礎知識編 桝谷英哉 著 青年書館

長岡さんのスピーカーの本を買った時に、同じ書棚にあり「オーディオの基礎知識編」のサブタイトルを見てついでに買ったので本来ならば一番最初にあげてもいいぐらいなのですが、純然たる技術書でもないので番外としました。

内容はちょっと古い感じですが、スピーカーやアンプといったオーディオ装置全般の仕組みと概説で、サブタイトルどうりの「オーディオの基礎知識編」ですが、オーディオメーカーの「うたい文句」と、いわゆるマニアの言動を俎上に乗せ、「アンプの自作(キット)」の薦めで結ぶという内容です。 著者の個性的な論点が正しいかどうかは別としても、広告コピーや雑誌の評論などを鵜呑みにせずに「ものの仕組みと理屈から自分で判断すべき」という点は納得できます。 アンプの自作をするようになった今になって思えば、免疫性のなかった私にはこの本の刷り込み効果があったのかもしれません。

16(番外).MJ無線と実験 誠文堂新光社 (月間雑誌)

自作系オーディオの雑誌で、自作向けのアンプ回路やコンテストの優秀作品などが何点かずつ掲載され、真空管アンプも毎号取り上げられているようです。

事例作品の写真が実装の参考になるのと、通販などの広告のページが部品の値段を調べたりするのに使えます。

同じような自作系の雑誌としては他に「ラジオ技術」(アイエー出版)というのもありますが、どちらかというとMJの方が取っ付きやすそうな感じです。